お知らせ

2019年下期 湾ナビ評価額のダイジェスト

●マーケットレヴュー

2019年下期(7~12月)のマクロ経済の景気動向は、一言でいえば、悪化の一途でした。元々下落トレンドにあった景気を消費税の増税が追い打ちをかけ、ダメージが広がったといえるでしょう。2019年10月の極端な落ち込み、そこからの回復が当面の間見込めないことなどを考えると、コロナウイルスの蔓延を待たずとも景気はオリンピックイヤーまでもたない状況でした(本稿は2019年下期の状況であり、コロナウイルスの影響は次回以降のマーケットレヴューの範囲となります)。
一方で、湾岸エリアは2020年を前についに各種インフラが整いつつあります。湾岸マンション価格ナビのスタートから7年、いよいよ東京都心に近い住宅地としての評価が固まりつつあります。取引相場は過熱している一方で、在庫は明らかに減少しており、一部の人気物件では、売り出しが出るとすぐに問い合わせが来るような状況です。
不動産価格は、株価から約1年~1年半ほど遅行して反映されると聞きます。日経平均株価の直近のピークは2018年の24,600円ですが、2019年12月17日も24,250円を付けています。このため、株価をたよりにするなら、今しばらくは高いままと考えられるでしょう。
2021年からは大規模修繕工事を計画するタワーマンションが多い中でこの評価がどのように推移するのか、引き続き注視していきます。また、海外含めたマクロ景気が今後どのように推移するかで、流動性が高い湾岸タワーマンション相場は影響を受けるでしょう。なお、2020年3、4月の成約数は過去例を見ないほどの低調でしたが、5月最終週になって、問い合わせは急回復しております。

湾岸マンション価格ナビ対象マンションの取引数は前年同期と比べると77.1%にとどまりました。なお、評価額は1.07%の上昇となりました。上昇判定とさせていただいいたのは26マンションとなり、過去最高数を記録した2019年上期を超えました。

【豊洲エリア】
2019年上期から比べると、取引数を上回るマンションが増えました。ただし、いわゆる「玉不足」の状態は続いており、引き続き今売りに出すと、相対的に買い手が付きやすい状況にあります。
今期最も活発に取引されたのは豊洲3丁目のタワーマンション「THE TOYOSU TOWER」です。2期連続の上昇判定とさせていただきました。推定平均坪単価323.9万円は、左右に並ぶ両シティタワーズ豊洲に比べて10%近く高い評価となります。前回、最も取引された「シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル」は取引数が15→9と減りましたが、横ばいの判定とさせていただきました。北側隣地の大学新校舎の影響を測りましたが、当社が以前より算定していた評価額と成約値にさほど差はなく、評価額調整はありませんでした。
豊洲エリアで最大のマンションであり、最も高い評価を受けている「アーバンドック パークシティ豊洲」ですが、A棟B棟C棟すべて上昇判定とさせていただきました。特にB棟の評価額はこのエリアで新築分譲している「ブランズタワー豊洲」に迫るものがあり、駅距離・築年数を考慮に入れると驚異的です。不動産は立地が最重要ですが、商業施設との一体開発と緊密な連携は、時に築年数の減価を超えるという好例と言えます。
弊社近くの豊洲ベイサイドクロスが完成し、ららぽーと豊洲の拡張と悲願の駅直結が完成しました。魅力的な住宅エリアとして、ザ・湾岸の顔となりつつあります。

【有明エリア】
有明のタワーマンションは3つのマンションが上昇、他のマンションは横ばい判定とさせていただきました。在庫・取引数が急減し、2019年上期/前年同期の取引数を上回ったマンションは一つもありませんでした。
有明は2020年オリンピック大会の中心地ということもあり、下期は積極的に売りに出す動きは控えられた形です。ただし、「シティタワーズ東京ベイ」へのエリア内移動は相当数あり、2020年上期から在庫は増えると予測しております。 取引数が全体的に停滞する中で、「ブリリアマーレ有明」の9、「ブリリア有明スカイタワー」8がエリアトップでした。どちらも人気が高い有明西学園の学区であり、どちらかのマンションを希望されるお客様は数多くいらっしゃいます。 先日、1階部分が限定開店した「有明ガーデン」に行ってきました。基本はイオンでありつつも、質の高い品揃えで、利便性は極めて高いスーパーでした。一見すると建物にコストがかけられた商業施設であることがわかります。正式オープンが楽しみです。

【東雲・辰巳エリア】
「Wコンフォートタワーズ」の大規模修繕工事の終了が見えつつあり、これにと伴い力強い上昇を記録しました。東雲のタワーマンションは1例を除きすべて上昇判定とさせていただきました。「ザ 湾岸タワーレックスガーデン」の取引数が12、「パークタワー東雲」の取引数が10と、戸数を考慮に入れると大変活発な取引が行われたことが観測できました。湾岸タワーレックスガーデンは、評価額が坪260万円台に達し、相場の上昇と取引数の上昇を両方観測するマンションとなっております。
東雲のタワーマンションは2019年を通じてかなり活発に取引されました。隣接エリアである豊洲・有明に比べ、東雲のコストパフォーマンスが際立っていることが一因かもしれません。 「ブリリア辰巳キャナルテラス」「バンベールルフォン辰巳」はどちらも強気の成約事例を観測したため、評価額を上昇させていただきました。 「プラウドシティ東雲キャナルマークス」の入居が始まりました。東雲橋から見えるこのマンションは大変美しく、企画とデザインの力を見せつけられた思いです。すべての入居が完了する頃には、湾ナビへの登録を完了させていただきます。

【晴海エリア】
「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」が全マンショントップの取引数16を観測しました。ただ、弱気の成約が相次いだため、若干下落評価とさせていただきました。お隣、「ティアロレジデンス」も人気があり、このマンションは指名が多いです。
今回から「パークタワー晴海」の評価額変動を掲載させていただきます。2019年下期の取引戸数は10で、この規模の新築タワーマンションにしては鈍い取引となりました。逆を返せば、即転売組が少なく、非常に高い居住用需要に支えられたマンションということが言えます。前期に比べて0.94%の上昇とさせていただきました。
「HARUMI FLAG」は坪300万円前後で分譲されていますが、すぐ近くの「晴海テラス」の評価額は281.5万円です。築年数を考えるとこの評価額は驚異的ですらあります。
さて、緊急事態宣言発動に伴いHARUMI FLAGの第2期分譲が始まる直前で停止となり、我々も先行きを若干心配しております。2021年にオリンピック開催されるか含めて、計画が不透明になりました。ただし、建物自体はほぼ完成されており、五輪中止になったところで、分譲されなくなる、ということは無いはずです。今後とも動きを注視します。

【月島・勝どきエリア】
「「キャピタルプレイス ザ・タワー」の評価額はついに坪450万円を超えました。すぐそばで分譲された「MID TOWER GRAND」は坪420万円で販売されましたから、新築タワーマンションのすぐそばで、新築以上の価格で取引されているタワーとなります。なお、湾ナビ評価額対象ではありませんが、月島の他タワーマンション含めて、このエリアは2019年で相当上昇しました。
「勝どき ザ・タワー」は引き続き活発な取引を観測しましたが、成約値は一服しましたので、二期続いての横ばい判定とさせていただきました。先日、「THE TOKYO TOWERS」の脇に設置された東京BRTの停留所を拝見いたしました。残念ながらプレ運行は延期されてしまいましたが、開通すると勝どき6丁目の交通事情は一変します。BRTは不動産価格に反映されるのか、今から楽しみです。
「パークタワー勝どき」のモデルルームがそろそろオープンします。大規模な新築物件の販売開始はエリアの取引需要を喚起します。今後とも楽しみなエリアであります。

●成約戸数

2019年下期の成約戸数(湾ナビ取扱いマンションのみ)は、前年同期比で-22.9%でした。

●評価額の変動

2019年下期の全体評価額変動率は、前期比+1.07%の微上昇となりました。

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