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2019年上期 湾ナビ評価額のダイジェスト

●マーケットレヴュー

2019年上期(1~6月)のマクロ経済の景気動向は、先行きの悪さを示す指標が並びました。米国、ユーロ圏、中国はそれぞれ成長の鈍化がみられ、日本経済の景気判断も「悪化」に転じています。いよいよ来年に迫ったオリンピックイヤーですが、世界的な景気拡大がいつまで続くのかはわからない状況となりました。
その一方で湾岸エリアの不動産仲介の現場目線で語ると、いまは徹底的な売り手市場となっています。この湾ナビ評価額とマーケットレビューを公開し始めて6年が経過しましたが、これほどまでに売り手が優位だった時期はありません。一部のマンションを除き、取引相場が過去最高を更新する中で、在庫が減少しているという状況も見られます。エリアの外に引っ越される方が減少したわけではなく、国内・海外転勤に伴って通常なら売却するところを、そのまま賃貸に出して持っている、というケースは明らかに増加しました。湾岸エリアの不動産のオーナーは、先高であると考えていらっしゃる方が増えた証でしょう。また今、手放しても次に戻ってくるときにはさらに高くなっているのではないか、と考える方もいらっしゃるようです。
ただし、湾岸エリアマンションのような流動性が高い場所だと、マクロ経済変調の影響を受けやすく、この状況がいつまでも続くとは思えません。今回の評価替えでは、前期に引き続き下降判定は全物件でゼロ、すべてのマンションが横ばいもしくは上昇となりました。大規模修繕工事にいくつかのマンションが入っていく中で、この現象は驚くべきものです。

湾岸マンションナビ対象マンションの取引数は前年同期と比べると78.7%の水準にとどまりました。評価額は1.07%の上昇となりました。上昇判定とさせていただいいたのは22マンションとなり、これは過去最高数となっております。
2020年のオリンピックを控え、湾岸タワーマンションエリアは売出し数が減少したものの、成約価格は順調な推移を観測しております。

【豊洲エリア】
前回のレビューでも「豊洲エリアは取引数が急減した」と表現させていただきましたが、今回は「更に増して取引数が減少して」います。在庫数の減少が成約数の減少につながっています。過去最高の取引数を記録したマンションは、ありませんでした。よって、今売りに出すと相対的に買い手が付きやすい状況にあります。
豊洲4丁目の板状マンションシリーズ、「プライヴブルー東京」「東京フロントコート」「スターコート豊洲」は2期連続の上昇判定となりました。プラウドシティ東雲キャナルマークスのモデルルームが豊洲4丁目にあることから、上記3マンションと比較される方が多くいらっしゃるようです。築12年以上経過していますが、駐車場代を含めたランニングコストはプラウドシティよりかなり安く、また専有面積もこちらの方がずっと余裕があるので、価格競争力があるようです。
豊洲エリア最大の成約数は「シティタワーズ豊洲 ザ・シンボル」の15でした。こちらは北側隣地の大学新校舎で一部の住戸に影響がありますが、2019年前期の成約データには表れていません。次回以降の評価替えで実施となります。
豊洲エリアで一番力強く上昇したのはSKYZ TOWER&GARDENの1.93%でした。豊洲駅に近い場所に建設中のブランズタワー豊洲が坪400万円で販売されており、好影響を受けている模様です。ブランズタワーはエリア内での住み替え需要が高く、2022年の入居前後には多くの在庫が出ると予想されます。
弊社近くの豊洲ベイサイドクロスがほぼ完成しました。大型オフィスビルの登場は、働く街としての豊洲の発展でもあります。豊洲エリアは、いま絶頂期を迎えようとしています。

【有明エリア】
東京オリンピック開催まであと8か月となりました。建設中だった有明アリーナや体操競技場の外観はほぼ完成し、これから外構に手が入ると、有明エリアは大きく変貌を遂げることになります。
特筆したいのは、「ブリリアマーレ有明」です。2019年上期の上昇率は7.90%と、湾ナビ開始以来、全マンション・全期間の中で一番高い上昇率を観測し、一気に坪290万円台まで評価額が上がりました。成約数も19と、2期連続で湾ナビ対象マンションの中でもっとも取引されたマンションとなりました。
これには2つの理由が考えられます。1つ目は、すぐ近くで販売されている「シティタワーズ東京ベイ」「プレミスト有明ガーデンズ」が高い水準であること、2つめは、有明エリアのタワーマンションが軒並み築10年を越していく中で、最も管理が活発で外部への情報提供に積極的であった、ということでしょう。不動産仲介としても、管理が良好と事例して案内しやすいマンションです。
「ガレリアグランデ」「オリゾンマーレ」「ブリリア有明スカイタワー」「ブリリア有明シティタワー」もすべて力強い上昇となりました。 有明エリアの方々待望の商業施設「有明ガーデンシティ(仮)」の外観が完成し、有明は眺望が良い場所から住む場所としての脱皮がいま起ころうとしています。 2020年上期は、シティタワーズ東京ベイの買い替えに伴う、売り需要があり、オリンピックイヤーは大変な賑わいとなるでしょう。

【東雲エリア】
現在大規模修繕中の「Wコンフォートタワーズ」ですが、修繕工事が終わった上部分が白く輝くように蘇っているのがわかります。修繕工事の完成が楽しみです。
東雲エリアも前期に引き続き活発な取引が観測されたのですが、エリアとしてはほぼ横ばい判定のマンションが過半となりました。わずかに「Wコンフォートタワーズ EAST」「ザ 湾岸タワーレックスガーデン」の2マンションを上昇判定させていただきました。どちらも、エリア内のタワーマンションの中では駅から近く、取引が活発です。特に湾岸タワーレックスガーデンは、60平米台2LDKのDINKS向き住戸が数多く設定されていることから、継続した住み替え需要がある上に総額が抑えられており、湾岸エリアにこれからエントリーされる方に好まれる傾向があります。
前期成約数が0だった、「ブリリア辰巳キャナルテラス」は、強気の成約事例が見えたため、評価額を上昇させていただきました。
新築分譲中の「プラウドシティ東雲キャナルマークス」は、我々が事前に予測した以上のスピードで販売消化されています。来年1月の完成が間近になり、オーバル型の躯体がほぼ完成しました。外観は今までありそうでなかったマンションと評価します。東雲エリアの未来は明るいと予想します。

【晴海エリア】
「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」の取引に高い成約が続いて観測されたため、評価額を2.40%引き上げさせていただきました。
お隣クロノレジデンス、パークタワー晴海と合わせて、対岸の豊洲公園から見える景色は湾岸を代表する風景となりました。SUUMOさんの表紙をはじめ、今年はこの3タワーを写した雑誌やメディアをよく見かけました。外観の美しさは、特別感を演出します。
HARUMI FLAGの第1期600戸、第1期2次340戸が販売されました。短期間でこれだけの数が売れることにも驚きですが、晴海エリアの既分譲マンション相場までは影響が無いことを確認しております。

【月島・勝どきエリア】
「キャピタルプレイス ザ・タワー」の一人勝ちのような情勢です。分譲開始後どんどんと上昇し、現在評価額平均単価は坪450万円に届く勢いです。ただし、ここまで相場が上昇し、かつタワーマンションであるにも関わらず、取引戸数は多くないことから、永住思考の居住者が多いこともわかります。
「勝どき ザ・タワー」は引き続き活発な取引を観測しましたが、成約値は一服しましたので、今期は横ばい判定とさせていただきました。お隣の「THE TOKYO TOWERS」と合わせた超大規模三連タワーは、日本で最高密度の住宅エリアでもありますが、来年からはこの下に新橋行きのBRTが開通します。どのような評価となって不動産価格に反映されるのか、今から楽しみです。
勝どきエリアは豊海アドレスと合わせて再開発が目白押しです。再開発は、エリアの人気を底上げし、周辺の中古マンション取引も活発化させます。オリンピック後も怒涛の建設ラッシュを迎えるこのエリアは、将来的な資産価値も底堅いものと見られます。

●成約戸数

2019年上期の成約戸数(湾ナビ取扱いマンションのみ)は、前年同期比で-21.3%でした。2018年上期は過去最高の取引数を観測しましたが、今期は在庫数の減少が起き、取引数も落ちました。
2020年上期は大型マンションの入居が始まり、住み替えに伴う在庫数の回復が予想できます。

●評価額の変動

2019年上期の全体評価額変動率は、前期比+1.07%の微上昇となりました。

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