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2018年下期 湾ナビ評価額のダイジェスト

●マーケットレヴュー

2018年下期(7~12月)は期中に日経平均株価がピーク時2.4万円の水準から一気に1.9万円を伺うところまで急落するなど、景気の先行きに不安が残る状態でした。しかし、本稿執筆時点(2019年4月)では、中国の景気は年初に言われていたほど悪くなく、世界経済は奇妙な安定状態にまた戻りつつあります。日経平均株価も半値を回復するなど引き続き好調な水準となっております。オリンピックイヤーを前年に控えたいま、湾岸のインフラ集中開発はいままさに進行中であり、このエリアに注がれる熱い視線はいまだ冷めていません。
2019年から2020年の不動産市況先高がここ数年来ずっと言われ続け、いつか湾岸タワーマンションは急落するとの報道が多かったのですが、現象面からいえば全く逆の状況で、2018年後半から極端に売り物件の在庫が減りました。毎半期こちらのレポートを書いていますが、成約数がここまで減少したのははじめてです。エリアの外に引っ越される方が同程度減少したのかといえば、そうではなく、国内・海外転勤に伴って通常なら売却するところを、そのまま賃貸に出して持っている、というケースが増加したのだと思われます。これは、エリア内のマンションオーナー様が、所有物件の未来について明るい見通しを持たれる方が増えていることを意味しています。
通常の景気循環理論で言えば、在庫の減少は価格の上昇を招きます。今回の評価替えでは、下降判定は全物件ゼロとなり、横ばいもしくは上昇となりました。

湾岸マンションナビ対象マンションの取引数は上期と比べると75.9%の水準にとどまりました。ただし、前年同期比で比べれば、102.8%とわずかながら上昇しています。評価額は0.91%の上昇となりました。前期に上昇判定だった18マンションのうち、今期も上昇判定だったのは、8マンションと停滞が見られる一方で、前期横ばい評価もしくは下降判定だったマンションの多くが上昇判定となるなど、マンション間の価格差を若干埋めるような動きが見られます。
2020年のオリンピックを控え、湾岸タワーマンションエリアは売出し数が減少したものの、成約価格は順調な推移を観測しております。



【豊洲エリア】
豊洲エリアは全体として取引数が急減しました。これは前述の通り在庫数が減少したせいです。過去最高の取引数を記録したマンションは、「パークタワー豊洲」の8、「BAYZ TOWER&GARDEN」の7の2箇所にとどまります。パークタワー豊洲は185戸のこのあたりでは小型マンションという規模ですが、半期でここまで成約されたのは驚きです。三井不動産売主で豊洲徒歩5分というポジショニングの割に、坪300万円以下で成約することが多く、豊洲エリアの中ではエントリしやすいことが評価されたのかと考えます。
豊洲4丁目の板状マンションシリーズ、「プライヴブルー東京」「東京フロントコート」「スターコート豊洲」の人気が高まっています。こちら3物件はすべてが2期連続の上昇判定となりました。周辺のタワーマンションが一斉に築10年を迎えるので、修繕積立金の値上げ時期に来ています。駐車場を含めた保有コストが軽く、また豊洲駅からも近いこれらのマンションが指名されるのは、豊洲が単にタワーマンションの街ではなく、住む場所としての人気が年々高まっていることの証左です。
また、前期より「オーベルグランディオ・ベイフロント」「アイキャナルメイツ豊洲」「オークプレイス豊洲」「サンフル豊洲ベイステージ」「キャナルワーフタワーズ」の5マンションを追加させていただきました。 豊洲エリアで一番力強く上昇したのは「アーバンドックパークシティ豊洲B棟」です。特に西向きのお部屋は高層階から低層階まで引き合いがあるので、強気の価格でもすんなり成約してしまいます。豊洲エリアの中でも眺望と開放感に優れており、これからの人気も不変でしょう。
弊社近くに建設中の、豊洲ベイサイドクロスが姿を表してきました。地下から地上2階まではららぽーとの機能拡張であり、豊洲駅と直結します。豊洲エリアの開発は、いままさに佳境といったところです。



【有明エリア】
2年後に迫った東京オリンピック開催で大きく変わる有明エリア。現在、新築マンションが2つ販売されています。特に住友不動産が分譲する「シティタワーズ東京ベイ」は第1期から大きく値上げした価格で売り出されていて、エリアの相場を引き上げています。
有明エリアは、前回横ばい判定となった2マンションを上昇とさせていただきました。「ガレリアグランデ」「シティタワー有明」です。どちらも建設中の有明アリーナに隣接しています。国際展示場駅よりも東雲駅の方が近いこの2マンションが上昇となったのは、有明アリーナ周辺一帯が臨海公園になり、きれいな整備がされてくることが、目に見えてわかってきたからだと推察します。
エリアトップの成約数は「ブリリアマーレ有明」の19です。これは湾ナビ対象マンションの中でも一番多くの取引数となりました。続いて「ブリリア有明スカイタワー」の17で、有明エリアは他のエリアと比べても活発な取引が観測されます。有明のブリリアシリーズは昨年4月に開校した江東区初の小中一貫教育校有明西学園の通学エリアであり、子育て世代に人気があります。
シティタワーズ東京ベイの買い手の多くは、有明エリア内からであり、買い替え客は少なくとも200かそれ以上だという噂があります。2020年の入居を前に急速に売り物件・賃貸物件が増える可能性があります。



【東雲・辰巳エリア】
昨期に下降判定となった「Wコンフォートタワーズ EAST」「ザ 湾岸タワーレックスガーデン」がどちらも上昇判定となりました。どちらも、エリア内のタワーマンションの中では駅から近いこともあり、取引が活発です。
更に、「アップルタワー東京キャナルコート」「キャナルファーストタワー」「Beacon Tower Residence」のキャナルコート内3タワーが大きく上昇判定となりました。前回のレポートで「近隣に建設中のプラウドシティ東雲キャナルマークスは過去例のないような坪単価であり、こちらの影響は来期以降現れる」と書かせていただきましたが、まさしく新築マンションと比較して、近隣の中古マンションを選ぶ方が増えています。また、東雲キャナルコートのタワーマンションは、「東京23区」「東京メトロ駅徒歩10分以内」という条件に合致するタワーマンションとしてはかなり割安の水準で、人気が高まっています。
先日、桜シーズン真っ盛りの時に、東雲水辺公園から辰巳の森海浜公園を歩いてみました。改めて公開空地と公園が一帯で整備された水辺の良さと、このあたりの桜が見事になっていることに気が付き、東雲の魅力にまたひとつ気付かされました。



【晴海エリア】
「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」は上期に引き続き取引数10と好調です。コンセプトが明快な「パークタワー晴海」の庭が公開されて、中央区では望外の開放感溢れた立地は、お隣「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」とパークタワー晴海、3マンションの特権といえるでしょう。ららぽーと豊洲から見える3タワーは、デザインが統一された兄弟マンションのようであります。
HARUMI FLAGの分譲がいままさに始まろうとしていますが、あちらは勝どき駅から徒歩20分以上のマンションであり、さほどこちらのマンションは影響を受けないと予想します。



【月島・勝どきエリア】
「勝どき ザ・タワー」の成約数は一服しましたが、引き続き引き合いが見られます。成約は評価値の更に上が連発されましたので、湾ナビ評価額の最も大きな引き上げ(4.67%)となりました。お隣の「THE TOKYO TOWERS」と合わせた超大規模三連タワーは、浜離宮側からシンボリックな景色として映ります。
勝どきエリアは豊海アドレスと合わせて再開発が目白押しです。再開発は、エリアの人気を底上げし、周辺の中古マンション取引も活発化させます。オリンピック後も怒涛の建設ラッシュを迎えるこのエリアは、将来的な資産価値も底堅いものと見られます。



●成約戸数

2018年下期の成約戸数(湾ナビ取扱いマンションのみ)は、前年同期比で+2.8%でした。
オリンピックイヤーが近づく湾岸中古マンション売買は今後も堅調に推移すると予想します。


●評価額の変動

2018年下期の全体評価額変動率は、前期比+0.91%の微上昇となりました。

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