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三井健太第18回「キャンセルしたい。手付金を取り戻せるか」

<手付金と申込証拠金>

手付金は売買契約の際に授受される金銭です。これに対し、申込証拠金は購入を前向きに考えたい、若しくは契約したいが資金計画がまだ確定していないなどの事情で契約できないというような場合、当該物件が他の人によって買われてしまうと困るので、それを防止する性格を持つものです。

申込証拠金は、通常10万円ほど納めるのですが、申込み意思の確認と契約順位(=他の顧客に優先して購入できる権利)を確保するために授受される金銭であり、契約に至れば売買代金に充当され、契約に至らない場合は顧客に返却される、とするのが一般的な取引慣行で、普通は、申込書の控えに「申し込みを撤回した場合には、無償で返還いたします」と記載されています。

ちなみに、申込証拠金は会計上の預かり金となります。

 

購入した物件が決まったあとの最初の支払いは申込証拠金ですが、それから1週間~10日後に売買契約を行う際、手付金が必要となります。手付金は、物件価格の10%が目安となります。

物件価格が4,000万円の場合、売買契約に必要な諸費用(売買契約書の印紙税:売買代金によって変動するが15,000円以上)を除いて、400万円を現金で用意する必要があります。申込証拠金は、当然ながら手付金に充当することができます。

この手付金は俗にいう頭金の一部と考えてもらえばいいでしょう。

<手付金の性格と契約解除>

手付金を渡し、売買契約書に署名捺印した状態、すなわち契約成立後、当事者が一方的に契約を解除することができるのが契約です。

ただし、解除者は相手方にペナルティを支払うことが必要になります。

不動産売買契約における手付金は、法律上「解約手付」と解釈されています。

 

「解約手付」とは、契約が完了(署名捺印)したあとに、手付金を支払った買主が手付金を放棄するか、売主が手付金の2倍の金額を買主に返還する(倍返しと言います)ことで自由に契約解除ができるという意味を持つものです。

 

売買契約時に買主が400万円の手付金を支払った後で解除するときは、買主に400万円は戻って来ません。つまり、売主が没収します。印紙代も損になります。逆に、売主が契約を解除する時は、手付金400万円を買主に返金すると同時に400万円の違約金を支払うことが必要になります。

 

<手付金の制限>

なお、宅地建物取引業法により、宅地建物取引業者は物件価格の20%を超える額の手付金を受領することはできないことになっています。

物件により、また売主によっても手付金の額は様々ですが、上限の20%を求めて来たとしても、頭金を10%にして買いたいという買主もありますから、その条件を売主が呑めば、手付金は当然に10%ということになります。

また、頭金を20%以上入れる契約でも、売買契約の時には都合で5%しか用意できない人もいます。そのときは、売主に交渉すれば大体において承諾されるものです。

 

いずれにせよ、1度契約が完了してしまったあとにキャンセルすれば、最大20%、数百万円という大金を無駄にすることになるので、契約前に慎重に検討する必要があります。

 

尚、頭金を50%入れて購入したい場合において、手付金を除いた部分(このケースは30%以上)を中間金(内金とも言います)として支払う契約が交わされる場合がありますが、その中間金を支払ったあとに解約をしたら、この場合の違約金はどうなるのでしょうか?

ご心配は要りません。没収されるのは、手付金だけです。

 

<手付金が戻るケース>

解約しても手付金が戻るケースもあります。次のようなものです。

①住宅ローンが不承認になった場合

住宅ローンの審査は金融機関が行ないます。その審査が不承認になれば、残代金の決済ができない買い主は解約せざるを得ません。この場合は、契約書に明記されており、手付金を含む支払った金員は全額戻ってきます。戻らないのは、契約書に貼った印紙代だけです。

通常、業界の慣習としては契約締結前に金融機関に事前審査を依頼し、そこで仮の承認が下りたら契約するという手順になりますから、契約後の審査で融資が承認されないというケースは殆どありません。

ここで言う金融機関とは、売主が提携する金融機関のことで、買主が希望する金融機関の場合は適用しないとする契約もあるので注意が必要です。

 

②自宅売却が不調に終わった場合

こちらも、売買契約書に明記されるので、万一売却が進まない場合は解約しても手付金が返って来ないという心配はありません。

通常は、この金額なら売れるだろうという見通し(査定金額)を元に資金計画を立て、売買契約を締結します。ところが、実際に売り出してみたところタイミングが悪かったりしてうまく買い手が見つからないことがあります。売却期間を延長しても売れない、売値を下げても売れない。こうなると購入を断念するほかにありません。

売主であるマンション業者も、ある程度は待ってくれますが、許容の限度があります。やがて、双方の合意で解約という措置になります。

 

③天災地変によって引き渡しが困難になった場合

地震等によって引き渡し前に建物が損傷した場合は、設計とおりに修復してから引き渡すことになっています。損傷が甚大で、建て直す必要があるような場合は、互いに損害賠償の請求などは行なわないで解約をすることが契約書に明記されています。

 

注意)転勤が急に決まったので解約したいという場合は、買主の都合による解約(一方的な解約)にみなされ、原則として手付金は戻らないことを覚悟しなければなりません。ただし、不可抗力という判断で手付金を戻してくれる売主もありますから、諦めるのは早いのです。

 

<気が変わった・契約を止めたいというとき支払い済み手付金は戻るか>

モデルルームを初めて見学して感動し、舞い上がってしまう人もあります。そこを腕利きの営業マンが誘導し、契約の約束をさせてしまうというケースはよく見られます。しかし、時間が経過するに連れて冷静になり、心配なことが次々に表われたりします。その結果、考え直そうとか他の物件も見比べてなどと、気持ちが一気に後退してしまいます。これもよくあるケースです。

売買契約の日時が決まると、その前日までに手付金を売主指定の銀行口座へ振り込むよう案内がなされます。そこで、手付金の300万円なり400万円なりを買主は振り込みます。

その後、契約日の前に契約を中止したいとなったら振り込んでしまった手付金はどうなるのでしょうか?つまり、放棄するしかないのでしょうか?

いいえ、このようなケースは売買契約書に署名も捺印もしていませんので、手付金として振り込んだものであっても申込証拠金と同じ扱いになるのです。

 

「売買契約が有効に成立した証拠として、買主は手付金を支払い、売主はこれを受領した」と契約書にも明記されますが、手付金の法的な意味はここにあります。

従って、売買契約が成立していない段階(契約予定日の前日など)に振り込んだ金銭は、単なる預かり金(買主から見れば預け金)に過ぎないのです。

 

売買契約を約束してしまったのに、しかも手付金も支払って売主を喜ばせておいて、止めることにしましたと告げるのは、相手の心証を害することでもあり、勇気のいることですが、一生に何度もある買い物ではないのですから、その決断も大事である場合があります。

 

振り込んだ金銭を取り戻すにはどうしたらいいでしょうか? 簡単に返してくれるでしょうか?

そう、優秀な営業マンほど再度の説得を試みることでしょう。キャンセル手続きをするから、こちらまで足を運んで欲しいと先ずは要求するはずです。これは、できれば拒絶したいところです。そのときどうするかは、ケースバイケースです。万一、このような状態に嵌まってしまったら、当職へ御相談ください。

 

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