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三井健太第8回「こども部屋は狭くていい」

●子供部屋は広過ぎると問題かもしれない

子供部屋が広くて立派だと、よく勉強してくれるだろうというのは、親の幻想でしかありません。子供部屋は、むしろ親子の断絶を生む元凶になりかねないとも言われます。

居心地が良いと子供部屋から出て来なくなり、親子間のコミュニケーションが希薄になる可能性があるからです。

 

個室は整理整頓が行き届いてさえいれば、むしろ狭い方が落ち着くものです。子供が何かに夢中になっているときは、部屋の大小など考えていません。反対に、部屋が広すぎると友達が入り浸ったり、そこら中にゲーム機や本を散乱させて、閉じこもったりしてしまうものです。

 

勉強や一人遊びの部屋が子供部屋なのですから、必要最小限の広さがあればよいのです。

 

子供の自立心を育むためにも、また、子供でも一人で居たいときもあり、また、親に内緒のこともあってよいのですから、個室を与える必要はあると思います。

だからといって、広過ぎるのは問題があるのではないでしょうか。

 

●子供部屋はいらないと主張する建築士の話もある

マンションの購入理由の上位には、必ず「子供の部屋が必要だから」というのがありますが、次の二つの理由から子供部屋は不要だと言う建築家があります。

(但し、将来プロのピアニストを目指す子供に防音機能付きの部屋を与えたい、などという特殊な購入理由の場合は別です)

 

子供部屋を与えても、提供した親の期待するような行動を子供はしてくれない、ということです。親の目の届かない独立した部屋!こんな嬉しいことはありません。勉強なんかするわけがありません、という意見です。

 

外山知雄氏は、「元来、日本人は広い大きな家で家族の一人一人が自分の部屋を持って生活することに慣れていないのです。庶民の伝統の中にはそういう経験が蓄積されていないのです」、「子どもが大きくなって、(略)自分の部屋を欲しがり始めるようになります。

(略) 長い目で見れば、親から自立するための準備段階という意味があるので、この欲求にある程度応える生活空間が与えられるのが望ましいと言えます。

 

しかしそれは必ずしも個室でなければならないわけではありません。家具で仕切られた、ちょっとした死角のあるスペースでも、十分その働きをしてくれます」と述べています。

リビングの一角などに子供のコーナーを作ってあげて、将来的にコストをかけずに(大規模なリフォームをせずに)、子供の独立後、快適に老夫婦が生活できるプランを選ぶのも、考え方としては理解できるような気がします。

 

「戸谷英世・アメリカの住宅生産(1998年)」にも、なぜ、わが国において個室重視の設計がはびこったのか、なぜ、それが良くないのかが書かれています。

 

「わが国の近代住宅で最も重視されてきた価値観はプライバシーである。食寝分離の住宅計画の原点がプライバシーである。そのプライバシーとは何か、という基本的な内容についての検討や議論が殆ど進んでいない状態のままで、住宅空間に公室、私室のレッテルを貼って、それらを空間的に隔離したり、分離させたりすることがプライバシーを実現することになると勝手に決めて住宅計画が取り組まれていた」

 

「個人の物理的空間を保証し、そこでの自由を約束するのが豊かさを実現する住宅であると、学者や研究者だけでなく、行政も業界も、皆が観念論的に支持したのである。個人専用の空間ができても、そこでただ我が儘ができることなど、プライバシーの尊重でも、自由の発揚でもなんでもない。放縦と無関心による精神的バンダリズム(蛮行)でしかない」

 

「人間は孤立して、社会から自らを隔離して生活することはできない。人間が生活すること自体、社会との関係を持たないでは不可能である。家庭生活の場合も、家族の生活と切り離した個人の生活は存在しない」

 

子供の個室のために、マンションの購入を検討している皆さんは、今一度、考えていただきたいものです。個室を与えることが、子供にとって、本当にいいことかどうか。

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