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三井健太第3回 2017年12月8日「イイトコ取りの理想のマンションを求める愚?」

●頭の中の理想マンションはこうして出来上がる

モデルルームというやつは、大抵、そのマンションの中で、一番見栄えのするタイプを選んで造られているものです。それを見たら、こんな部屋に住みたいなと、購買意欲をそそられますね。それが売主の狙いであるわけです。

 

しかし、予算も合わないし、現実的な部屋もあったが、まだ決めるつもりはなく、今日は勉強のために見学させてもらっただけ。これが、最初の1件目の見学。だが、ワイドでお洒落、一流ホテルのバスルームみたいな豪華な洗面室が強烈な印象として残る。妻はうっとり。
次のモデルルームは、ややコンパクトで、自分でも買えそうなモデルルームだった。だが、その分、1件目のモデルルームのような豪華さがなく、少し失望。
3件目。やはり、手が出ないタイプのモデルルームだ。洗面所も満足。今度は、憧れのオープン・アイランド型のキッチンである。友人を招いてちょっとしたパーティーを開けるなと感じる。夫婦ともに、強く心に刻まれる。
4件目。初めてタワーマンションを見る。建物本体にモデルルームが新設され、眺望体験会なるものに参加。景色がいいことに感激。その印象が強い。買うなら、ここは20階から上だなと思う。しかし、予算内の価格ではないので、諦める。
5件目。バルコニー面がワイドで、かつ、その奥行きも長い。部屋側に食い込んだ部分は3メートルもあるという。テーブルと4脚の椅子が据えてあり、休日はここでブランチとしゃれたいと思わせた。DENと呼ぶ小部屋がある。夢だった書斎になる。このままのスタイルで欲しいと夫は思う。
こうして、夫婦ともにそれぞれの理想の住まい像が頭の中で出来上がって行きます。その姿は、予算との兼ね合いから現実的でないものばかりであるため、いつの間にか、いいとこ取りの理想の住まいが数珠つなぎになって頭の中で完成しています。

 

あれもこれもと、欲張っても無理。どれか捨てないと買えない。理屈では分かっていたかもしれないが、無意識に「ないものねだり」をしています。

どれを見ても、買える部屋に満足感はない。決めかけた物件もあったが、結局夫婦の意見が一致せず見送った。それからも一つ見送り、二つ見送りしているうちに1年過ぎた。1年の間に、随分勉強もした。目も肥えた。だが、いまだに購入する部屋が決まらない。夫婦は、相変わらず狭いマンションで不満な暮らしを続けている―――このような人は案外多いのです。

  • 見過ぎは禁物

何事もほどほどにという教訓でしょうか。「あちら立てればこちらが立たず、帯に短かしタスキに長し、一長一短がある」――これが、マンション(住宅)というものです。雑誌の記事を見ていると、よく「待った甲斐がありました。3年探し続けて理想のマンションに出会いました」などという喜びの声が載っているときがあります。

 

本当にそうなのでしょうか。単に錯覚しているだけなのではないか。私には、そうとしか思えないのです。理想のマンションなど、存在しえないのだから。ただ、屁理屈を言えば、人によって理想の基準が違うから、他人が嫌だという部分があっても、当人にとっては理想なのかもしれませんね。タデ食う虫も好き好きといいますから。

 

問題なのは、あり得ないもの、あるいは予算から見て不可能と思われるような高望みをしてしまう人です。それこそ、隣の芝生が青く見えてしまう人間の習性からか、青い鳥を探して長い旅をしてしまうことに、ある種の不幸を感じます。

人間には、感情と理性があり、理性通りに行動できないことが少なくありません。分かっちゃいるが・・・というやつです。

理想のマンション像が買い手の頭の中に、できてしまうのは何故でしょうか。モデルルームの見学を数多くこなして目利きになったつもりが、逆の「青い鳥症候群」に陥る原因なのですが、言い換えると、現実離れしたモデルルーム展示に目を奪われ、それぞれのいいとこ取りした理想像が頭の中で完成することに気付かないのではないでしょうか。

 

理想的な広さのベッドルーム、広いバスルーム、贅沢なユーティリティルーム、20畳もある広いリビングルーム、夢だったミセスDEN(専用の私室というほどの意味)、フルオープンのキッチン、専用のバルコニーの付いたキッチン、休日のブランチとしゃれたいスクエアで広いバルコニー、大きな納戸、古い箪笥は捨ててもいいと思えるほどの大きなウウォークインクローゼットなど、数を見て歩けば、それぞれの特長が記憶に残るものです。

マンション会社も夢見心地にさせることを狙って展示するわけです。

 

だが、リビングルームを広くすれば、部屋は狭くなり、両方望めば、全体の面積が広いものになる。広い部屋は、その分だけ、価格が高くなります。

ところが、その広さでも予算を上げずに買えるマンションが他にあったことを思い出す。では、そのマンションを何故選ばなかったのかといえば、そちらは、西向きが嫌だったからだという。

 

先に行って、広さも満足、向きも南向きというマンションに出会ったが決めなかったという。理由は、収納が足りないからだという。そのマンションは、キッチンから直接バルコニーとユーティリティに繋がっていて、家事動線がとてもいい。これが、それまでにない理想のマンションだと強い印象を持つに至った。せめて収納スペースがあと少し広かったら良かったのに、残念とこぼす。
これを繰り返して行くと、いいとこ取りの理想像が目に焼き付いてしまう。
このような罠にはまってしまう人は意外に多いのです。本人は気付かないから不幸なことです。

 

●衝動買いも悪くはない

性格にもよるのでしょうが、高額な買い物を衝動買いすることに抵抗をあまり感じない人がいます。マンションを購入する場合でも同様で、一目惚れして初めての見学で即決してしまうタイプが現実にいるのです。

リクルート社の調べによれば、契約を決めるまでのモデルルームの見学件数は平均7件だそうです。中には30件という猛者(もさ?)もいるようです。

 

熟慮型と衝動型の、どちらがいいかは一概には言えない部分があると私は思います。それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。

 

<熟慮型のデメリット>

①あれこれ迷って、結局は良いものを手に入れることができない

どのマンションにも良い点と悪い点があるものだが、見過ぎると知らずしらず、それらの良い点ばかりを望んでしまい、理想が高くなってしまいがち。つまり、百点満点のマンションはどこにもないことは分かっていながら、いつの間にか『夢』の物件を求め、いつまでも決断できないという結果になってしまう。「下手の考え休むに似たり」の格言通りの行為で無意味なことも。快適住宅にいつまでも転居できず、不満が持続してしまいます。

②タイミングの悪い時に買うハメになることもある

半年前のあの物件が良かったと言っても後の祭り。また、金利が上がってしまい、去年の内に買っておけばよかったなどと後悔することも。

 

<熟慮型のメリット>

①残り物に福あり、という幸運に当たる可能性がある

②よく考えた結果だからと、失敗しても納得感を持てるかも

 

<衝動買いのメリット>

①「思い立ったが吉日」の格言どおりの行為は、あまり悩まずにすむので苦労が小さい

②タイミングの良い買い物をする結果になりやすい

③早く買えば、それだけ幸せ気分に早く浸れる

 

<衝動買いのデメリット>

①「営業マンの口車に乗せられて」と後悔することもある

②物件の欠点に気付かずに後悔することもある

③「知らなかった。聞いていなかった」と腹を立てることも

 

決めるときは案外単純なもの。「L字型のキッチンが夢だったから」とか、「バルコニーで食事したハワイのホテルのシーンを思い出して」、「リビングが明るくて気持ち良い暮らしができるような気がしたから」といった「一目惚れ」が決め手になるのも事実です。

 

その一方、条件をすべて満たしていても、好きになれない箇所が一つでもあると、「〇〇が気に入らなかった」で止めてしまう人もあります。

 

何やら結婚と同じではないかという気になりませんか?

 

熟慮した結果、一目惚れではなかった物件を選ぶと、後悔するのではないかという気がします。「考えに考えた結果で選んだのがそれかよ」などと言われないようにしたいものですね。

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